今月初めのエントリ『【文字情報】2011年6月までのお気に入り欧文書体ーMy favorite fonts from April to June, 2011』にて取り上げました書体『Stevens Titling』の制作経緯についてデザイナーの立野竜一さんよりメールを頂き、当ブログへの掲載許可を頂きました。貴重なお話だと思いますので新たエントリでご紹介いたします。
まずは前回掲載した記事を再掲載します。
まずは前回掲載した記事を再掲載します。
Stevens Titling
May, 2011
Designer: John Stevens and Ryuichi Tateno
Publisher: Linotype
カリグラファーのJohn Stevens氏が平筆で書いたものを立野竜一氏がまとめたもの。変わっているのは、筆の掠れ具合で4ファミリーとなっていることです。平筆のローマンキャピタルは通常トラヤヌス帝の碑文の書風を踏襲するので、この書体もTrajanに必然的に似てきますが、John Stevens氏の手書きの風合いが程よく醸し出されています。
特徴・見本・購入は
この記事中の『平筆のローマンキャピタルは通常トラヤヌス帝の碑文の書風を踏襲するので、この書体もTrajanに必然的に似てきますが』の件今回『Stevens Titling』制作の際、影響を受け意識していた碑文はトラヤヌス帝の碑文ではなくAppiaの碑文(『欧文組版 組版の基礎とマナー (タイポグラフィの基本BOOK)』のp.10の写真)ということだそうです。
この書体の制作の動機が、世の中はAdobe Trajanばかりで、手書きの表情を残した柔らかいRoman Capitalの書体が欲しいと感じたそうで、Appiaの碑文がまさしく手書きの柔らかさを残していて、もう一人のデザイナー(というかカリグラファーですが)John Stevens氏の手書きと共通していた(John Stevens氏の文字とAppiaの碑文の文字が100%一致する訳ではないそうですが)、ということです。またトラヤヌス帝の碑文とAppiaの碑文とでは文字の微妙な細かいところが異なっているそうです。ウ〜ン、なるほど。Roman Capital=トラヤヌス帝の碑文という、短絡的な見方しか知らなかった自分としてはスンゴイ有難いお話でした。もっと勉強せねば。この書体の開発秘話(?)は、また後日立野さんのサイト「evergreen」にて書かれるそうですので要チェックです(いつになるかは明言されておりませんでしたw)。
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