対談
今回のゲストはLinotype改めMonotype社の小林章さん(右)と、大阪の看板屋さんである板倉賢治さん(中)・上林修さん(左)のお二人。まずは小林さんの欧州や日本などの標識文字の考察をスライドにて。
小林さん曰く、欧州などは標識に使われる書体は角ゴシックなのだが、日本に限っては丸ゴシックのオンパレード。コレが不思議で只今調査中とのことで、その辺りについて色々お話を伺った。欧州・南米などで撮影された下記文字のスライドのあと(話に夢中で撮影するのを忘れる)、日本の標識などのスライドが続く。
こちらは日本の1950年官報の道路標識令での指定書体の箇所。英数字は角ゴシックなのに漢字は丸ゴシック!
鉄道車両に書き込まれた文字も丸ゴシック。
欧州などでの書き文字の書き方や、なぜ日本では丸ゴシックが主流になったのかなどについて、板倉さん、上林修さんが看板文字を書くプロの視点から考察し推測する形になる。
実演
平筆を使っての角ゴシックと丸ゴシックの実演を鑑賞。この時はまるで芸能人を取り囲んでいるかのようなシャッター音の雨あられ。最初は看板の「看」の字を書く。インクをしばらく調整後、おもむろに右の板倉さんが3本線を素早く引いて、ああインクの加減を見ているのだな、みんなが思った瞬間、
あっ、もう「看」の字書いてたんだ!!!と一同驚きどよめく。そのくらい書きっぷりが早い。もう何の躊躇も無く線を書いてゆくんですってば!
別途ビデオで上からも押えてプロジェクターに投影。
そんなかんなで素早く文字が書き出されてゆく。
看板文字にも世代によってスタイルが異なるらしく、左下の「場」は左が年輩の方のスタイルで右がお2人の世代のスタイル。年輩の方のスタイルは楷書の書風が内包されている、とのこと。お2人の世代、というか特にお2人は書体の「ナール」「ゴナ」に影響を受けたということである。
ひらがなも世代間でスタイルが異なり、「は」も左が年輩の方、右がお2人の世代のスタイル。
ということで実演は終了。あとは、お2人の書かれた文字のディテールを堪能していただくとしよう。
丸ゴシックでの筆画終端の丸みのディテール。平筆の場合は筆をクルッと半周させる。
角ゴシックでの筆画始筆側の角のディテール。毛先の跡が垣間見れる(あ、本当は始筆側も角が出るように追加で筆入れするよん)。
角ゴシックでの筆画終筆側の角のディテール。角が出るように追加で筆入れして角をつくる。
角ゴシックでは「目」「口」の下端に「ゲタ」が表現される。
丸ゴシックでの「目」「口」のカドの収め方。最後にクルッと1/4周させて丸みを後付け追加する。
ワークショップ
…集中し過ぎて写真殆ど撮ってないッス。そんな中貴重な写真を撮ったので、それをWSの模様としてお送りする。
小林さん、看板文字書きへの挑戦の風景。
そうしてあっという間の2時間半、全員立ちっぱなしでひたすら文字を書き続ける。
WS終了後の講師陣の方と名刺交換としばしの談笑。
終了後
脚イタイ。そしてなによりも、この分科会が起爆剤となって突如「オレ文字書けるっ!」とまた天の声が降りてきた。何がきっかけになるか判らない。
WSで書いたワタクシの書き文字を晒しておく |
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