以前
なに活さんの処へ来られた
o_AhMYさんが、この活版印刷所へ出入りしていてしかも文選・植字を教わっているということで俄然興味をそそられ、
なに活さんの音頭のもと見学の手筈を取って頂き、
なに活さん、
pika_kyotoさんとワタクシとで2011年11月11日(金)の見学と相成りました。
印刷所を入るとすぐに、Heidelbergの印刷機が3台が鎮座しております。
1台目は、Heidelberg cylinder press 46X64。Heidelbergのシリンダータイプの活版印刷機は今回初めて拝見します。
全体の勇姿
給紙・排紙側
堂々たるネームプレート
稼動している模様
2台目はおなじみ、Heidelberg Tiegel (Windmill)。但し今までとは違い、一回り大きいGT type!(今までに出てきたのはT typeというヤツ)。A3まで対応可能なスゴいヤツ。風車という名の由来であるクワエもおおきく回転し、また版にインキを補填するインキローラーも3本あってこれが上下に移動する、その迫力がスゴイ。そして何よりも、40年前のものとは思えないほどつややか!40年間毎日綺麗に拭いているそうです。ホンマにピッカピカです。頭が下がります。
全体の勇姿その1
全体の勇姿その2
T typeはカワイイ丸い握り玉だけど、このGT typeはゴツいグリップ!
工具差しも付属
ピカピカな側面
「給水塔」のような…
稼動している模様その1
稼動している模様その2
稼動している模様その3
最後、3台目はHeidelberg GTO 36X52。オフセット印刷機です。
あれ、活字は?!実は1階には置いてなく、2階に上がると拝むことが出来ます。
このような配置があと2列、計3列あります。
ウマ棚の下にある函の群れ、これ実は新品活字のストックなのです!
ウマ棚の下以外にも専用の棚に新品活字のストックは並んでいます。
新品特有の銀色がまぶしい!
全盛期の頃は、活字は一度使用したら廃棄(実際は再鋳造のために再利用されるけども)していたため、特にこの印刷所では在庫を大量に確保しているのが社風だったようで、今もストックしているそうですが、活字を鋳造する処も少なくなり、現在では活字を使い回しているそうです。
銀色に輝く新品の活字の上に、インキで黒くなった使用された活字が、
今の活版印刷の状況を物語っている。
2階では他に、植字作業を行う場所になっていますので、大量の込物類や罫線類が置かれています。
心ときめく植字台と大量の込物類
別の植字台とゲラ
木インテル、罫切り器、鳥居鋏、ブレース鋏
大量の込物類とヤスリ
大量の罫線類
この2階にも印刷機、正確には校正機が置かれていますが、残念ながら現在は使用しておらず、稼動しないそうです。
自動校正機。版は真ん中の平台にセットし、
ローラーの付いているユニットが版の上を水平に往復移動します。
別角度から。
校正機のメーカー名
校正機のプレート
植字台の下には、自動込物選別機が。
自動込物選別機
長年使用されていない雰囲気を醸し出していましたが、職人さんが動くんかなぁとスイッチを入れたら…
あっ、点いた!
モノは試しと職人さん、込物をおもむろに持ち投入口に入れ込むと、見事にサイズ毎に分別されるじゃありませんか!いやぁコイツは賢いヤツですよw(余りにも急にコトが始まり且つ暗い場所にあったので動画撮影は失敗しました(^^;; )
実は3階の、事務室の隣にも活字のウマ棚があります。
このような配置があと2列、計3列あります。
さて今回はちょうど、この印刷所を紹介して頂いた
o_AhMYさんが文選したもの(植字は職人さんがされたかと記憶)を印刷するということで、その作業も見学させて頂きました。
1階の作業台にて。チェースに組版がセットされた状態。
ほんのちょっぴり摩耗してしていた活字を差し替えているところ。
活字の差し替えが終わってTiegel (Windmill)にセットした状態。
(印刷しているところは諸事情(正確には撮り忘れ)のため割愛)
こちらは、
o_AhMYさんの別のモノで使用する活字なんですが、よく見てください、一番手前の活字が中途半端に分割されているのが分かるかと思います。実はこれ既存の活字を使った合字をしたものなんです!初めて実見しました!!
「忱」はJIS第2水準相当の漢字ですが、
この活字のストックが既に無かったためやむなく合字。
輪郭削り器。本来は罫の端を45度に削るものだけども、
これで活字を削って合字してましたw
完成した「忱」合字
植字台にはこのような目盛りが付いています。
この目盛りを見て組版しているようです。
目盛りのディテール
以上、2時間半にわたり居座ってしまいましたが、貴重なお話をたくさん伺えまた観られて、非常に楽しい見学でした。
o_AhMYさん本当にありがとうございました。
なに活さん、
pika_kyotoさん、おつかれさまでした。
密かに度肝を抜かれていた大量のファニチュア。
金属工具フェチの自分には堪らない光景。